院内報「こころ」
Medical Journal KOKORO
1月に前号を発刊して以来、ずいぶんと間が空いてしまいました。 未曾有の大震災が起こり、この事態に自分自身がどう向き合ったら良いのか、この「こころ」誌に何を表現したら良いのか、思案を重ねるうちに、時間がたってしまいました。(院長)
◆ 当面の休診日のお知らせ ◆
当面の休診予定日をお知らせいたします。
*5月:5月14日(土)、5月28日(土)は休診。
*6月:6月4日(土)、6月18日(土)は休診。
*7月:7月9日(土)、7月30日(土)は休診。
◎土曜日は不定期に休診いたしますので、ご予約なしに受診される場合は予め必ず電話にてご確認下さい。
◇ 新年度が始まって 医療に関するお知らせ ◇
・特定健診・ 後期高齢者健診 新年度分開始
4月から、特定健診(40歳~74歳対象の、いわゆる「メタボ健診」)と、後期高齢者健診(75歳以上の方対象)の新年度分が始まりました。 対象の方には、その通知がそろそろ来ていると思います(震災の影響等で例年より遅れているようです)。 健診を受けるためには、同封されている受診券等が必要となるので、無くさないように!! 来年3月末まで受けることが出来ます。 また、通常の健診を受ける代わりに人間ドックを通常より安く受けることができますので、お勧めです。詳細は郵送されてくる通知内容をご覧下さい。 ※当院では、特定健診は、堺市国保の方のみに限定しています。 後期高齢者健診は大阪府内全域の方を対象としております。
・無料の肝炎ウイルス健診が継続されます
堺市実施のB型・C型肝炎ウイルス検査の無料実施が、来年3月末まで延長されることになりました。 知らぬ間に感染していることがあり、調べたことがない方はぜひ受けてください。 当院でも実施中!
☆対象者:堺市民で20歳以上の希望者。
(過去に肝炎ウイルス検査を既に受けた方は除く)
☆検査項目:HBs抗原・HCV抗体のみ(簡易)
・麻疹・風疹混合ワクチンを受けましょう!
麻疹は未だに死亡率が高い感染症です。 また、風疹は妊婦が妊娠初期に感染すると胎児に先天性風疹症候群を引き起こします。 麻疹と風疹の予防接種は、1度の接種だけでは、免疫がつかない場合や免疫がついても接種後数年が経てば免疫が弱くなる場合があり、<1期>1歳児、<2期>小学校就学前1年間、の2回接種となりました。 以前、麻疹と風疹の予防接種を1回しか受ける機会のなかった年代に第3期・第4期として2回目の接種機会が設けられることになっています。 なお、接種は麻疹風疹混合ワクチンを使用します。当院でも実施中(事前の予約が必要)。無料です。 ☆接種年齢は次のとおり:
第3期:中学1年生、第4期:高校3年生
注)対象年令を過ぎると無料で接種できません!
・子宮頸がん予防ワクチンの高校2年生の接種期限を9月末までに延長
対象者は現在中学1年生~高校1年生の女子で、1回目の接種のあと、1ヶ月後に2回目、半年後に3回目の、計3回接種する必要があります。しかし、子宮頸がん予防ワクチンの無料接種事業について、現在、ワクチンの供給量が不足し、医療機関での予防接種の実施が困難な状況となっており、当面、新規の接種開始は全国的に困難な状況です。 そのような状況の中、平成22年度に高校1年生だった女子について(現在高校2年生)は、平成23年9月末までに1回目の接種をした場合は、助成の対象とされました。 ワクチンが各医療機関に行き渡り始めるのが今年7月ころの見通しとのことです。 接種ご希望の方は、実施医療機関にお問い合わせ下さい。(当院も接種実施予定)
この無料接種は来年3月末で終了となる予定です。
・・・以上、詳細は堺市ホームページをご覧下さい。
●東日本大震災で見えてきたもの●
東日本大震災で被災された方々には心よりお見舞申し上げます。 惨禍に遭われた方々の気持ちを考えると本当にいたたまれなくなります。 被災地の十分な復興にはとても長い年月を要するでしょうが、大震災から約2ヶ月が過ぎ、東北新幹線は全線開通し、滅茶苦茶だった仙台空港も整備されて飛行機の離発着も再開し、その復興スピードには驚かされ、人間の力の偉大さを実感します。
しかし、この震災で日本人のすばらしさが明らかになりました。 海外メディアは、「大地震の最悪な状況下でも、日本人は他者を気遣うマナーを持ち合わせている」「震災で家族や親友が命を奪われた場合でも、日本人は大声で泣くことが少なく、静かに運命を受け入れる」「日本人はどんなに過酷な状況でも、個人は集団を離れず、集団は個人を保護する。この日本人の協調精神が、社会全体にとっても個人にとっても大いに役立っている」「どんな事態が生じても、日本では略奪や大パニックが生じないと言っても、大げさではない」と、こぞって大絶賛していました。 日本全国を挙げて、義援金やボランティア活動など、自分ができることを自発的に行ない、まさに「チーム日本」です。 ある外国の留学生がTVのインタビューで話していましたが、「日本が世界で一番文明国だと思う」と。 今、日本人であることを誇りに思います。
しかし、福島第一原発の放射能漏れは余計です。「想定外の事態」とのことですが、自然をコントロールできるとの過信があったでしょう。 原発に依存するエネルギー政策は転換せざるを得ないでしょう。 しかし原発依存が、電力消費が増え続ける中で生じてきたことを考えると、ある映画監督の「人は今こそ謙虚にならないといけない。少しずつ暮らしの『引き算』をする時が来たんじゃないか」との言葉に大いに同意したく思います。
また、今回、東北地方の製薬工場が被害にあったことを受けて特定の薬の生産が出来なくなったり、さらには関連会社の被害で薬が生産できても容器が作れないため製品にならない等、ここに来て全国的に薬剤の在庫が品薄となっています。 当面、長期の処方を控えざるをえない状況が続きますが、どうか、ご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。 (院長)
●放射能は、軽視するなかれ、
しかし、恐れ過ぎることなかれ●
前記事でも書きましたが、この大震災、福島第一原発の放射能漏れがとても厄介です。 解決に長い時間がかかりそうです。 しかし、放射能汚染については正しい理解が必要です(私も理解は十分とは言えませんが)。
そこで、興味深いで論文を見つけました。『1960年代の放射線量は1万倍だった 尾崎弘之・東京工科大学大学院ビジネススクール教授』(以下、長くなりますが一部引用します):『気象庁の気象研究所が1958年から50年以上、国内の放射性物質量を継続的に測定している。(中略)そのデータによると、米国、ソ連が大気中で核実験を行っていた1960年代、土壌中に含まれるセシウム137とストロンチウム90の量は、2000年以降の平均値の何と1万倍を上回っていたのである。 1963年の部分的核実験禁止条約後、放射線量はやや下がるが、1970年代に中国、フランスが核実験を行うと再び、2000年代の1000倍レベルに増加した。 1986年にチェルノブイリ原発事故が起きた時は一瞬、1960年代の水準まで増加するが、わずか1年で、前後の期間の平均的なレベルに下がっている。 ・・・(中略)・・・ 東京・新宿区の場合、3月13日の放射線量が前日の3.2倍に突如増加し、23日には4.3倍になった。 その後は、12日の2.5倍程度で安定している。 福島県内の「30km圏外」では、多い地点でも、平常の10倍程度である。 土壌中と空気中の放射線量が比例すると仮定すれば、両地点の測定量は1960年代の1000分の1から4000分の1に過ぎない。 当時、私は小学生だったが、この年代で有意にがん患者が多いというデータはないはずである。このような研究成果は国際的にもっとアピールされるべきである。』
もちろん、原発の近くに居続けることは被曝し続けることになり、退去する必要があるが、原発に近い場所での農作物や乳製品、魚介類を摂取したとしても、放射性ヨードが体内に摂取されても代謝作用が加わって生物学的半減期が3~4日で、半減期が30年と長い放射性セシウムも代謝作用が加わって生物学的半減期が60日で、現地の物をずっと食べ続けなければ問題無いと言われています。 海水の汚染も希釈されて、よほどの長期にならねば魚介類への濃縮は起こらないでしょう。(院長)